バラの病害虫対策
1 黒星病(黒点病) うどんこ病
<黒星病(黒点病)>
①発生のサイン
葉に黒褐色のシミ状の斑点が出て、その周りが黄色になり、
葉は後に黄化し落葉する。
斑点に胞子が生まれていて、まわりに伝染しているので
出始めに斑点のある葉を取り除くことが重要。
②発生時期
5〜7月、9月〜11月
③被害
葉が黄化して落葉する。
④発生を促す条件
・雨の跳ねかえりにより伝染するので、雨が多いと発病が多い。
・温室で栽培された切り花は、雨に当たらないので黒星病は出ない。
⑤対策
・黒星病に感染した落葉から雨の跳ね返りで感染するので、
落ち葉を取り除くことが重要。
・梅雨時にはバラを雨が当たらない所に置くと黒星病発生は少ない。
台風・雨、強風の後は。落ち葉を拾って処理する事が大切。
・落ち葉を取り除かないとマルチングでは防げない。
⑥薬剤処理
・萌芽前処理【ベンレート水和剤】
2月下旬~3月初めの冬芽の萌芽直前に、
特に芽のまわりに丁寧に、散布し、合わせて株全体に散布する。
・この時期の病気の立ち上がりを抑えることが最も重要。
⑦効果的な防除方法
1)栽培管理
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被害部位の除去 発病した葉、茎、落ち葉は速やかに除く、
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窒素肥料を一度にたくさん与えない。窒素過剰は病害虫発生を促進する
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窒素肥料は芽を徒長させ、やわらかい芽に病気やアブラムシなどの害虫が出やすい。
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対策として、緩効性肥料(コーテイング肥料)を使う。
■緩効性肥料(コーテイング肥料):マイローズばらの肥料
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施肥しても一気に肥料成分が溶け出さず、暖かくなると肥料が溶け出し、寒くなると溶ける量が減るように肥料溶出量をコントロールされた肥料。
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この肥料の使用により、病気やアブラムシの出かたが変わる。
2)薬剤の散布
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萌芽前散布の後、薬剤散布はトップシーズンに1~2週間毎に散布する。
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噴霧器を使用する場合は、展着剤(ダイン)を必ず加える。展着剤はノリの役割があり、葉に薬剤が広がりやすくなり、よく付着する効果がある。また薬剤が水に均一に混ざる効果もある。
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【薬剤を混用する場合の調整する順序】
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水を入れ、展着剤、液剤、粉(水和剤)の順に溶かす。
⑧薬剤耐性菌が出る仕組みと対策
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同じ殺菌剤、同じ系統(作用機構)の殺菌剤を連続で使用すると、その薬剤に耐性を持った菌が増えてしまう事がある。
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その薬剤に耐性を持った菌がだんだん増え、最後には耐性のある菌だけになる。
【対策】
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種類(作用機構)の異なる殺菌剤のローテーション散布で、薬剤を交互に散布することが、耐性菌出現回避に効果がある。
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【黒星病・うどんこ病の場合に使える薬剤】
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ベンレート水和剤、サプロール乳剤、ベニカXファインスプレー、マイローズ殺菌スプレー
<うどんこ病>
①発生のサイン
小麦粉をまき散らしたような白いカビ、
この時、既に菌糸が広がっている。
②発生時期
4月〜11月
③被害
・葉がよじれる、波打って落葉する。
・株が著しく衰弱する。
④発生を促す条件
・比較的涼しく、乾燥すると発生しやすい。
夕方水やりをし、株のまわりの湿度が高まっている所に、翌朝からっと晴れて葉が乾燥するときに発生する。
⑤効果的な防除方法
1)栽培管理
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被害部位の除去
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窒素肥料を一度に与えない(黒星病と同じ)
2)薬剤の散布・耐性菌対策
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黒星病と同じ