接ぎ木
■ノイバラの台木に、殖やしたい品種の穂木を接ぐ
■台木は実生の1年生バラの根を使う。
種から育てたものを実生苗という。
実生:直根があり、深く根が張っているので、乾燥に強い。
挿木:直根がなく、浅く根が張っているので、乾燥に弱く突然枯れたりする。
このことから、バラは接木して殖やすのが一般的である。
園芸店では接木のバラが販売されている。
1月に接木し4月に販売するものを新苗といい、12月頃から販売するものを大苗という。
■方法
1.穂木の調整
殖やしたい品種の枝を切り取り、穂木とする。新芽が3つ以上あるものをとる。 太い穂木は接木の時しっかりした苗になるが、台木より細いものにする。貴重なものは短くても細くても良いので大切に接ぐ。
30cmほど伸びた新梢を切り取る
接ぎ木に用いる道具一式
左:ノイバラの台木、右:用意した穂木
① 穂木を元から数えて3芽残して切る。
② 穂木の棘を切り取る。
③ 3芽の5mm上を、芽と平行に斜めに切る。
④ 穂木の元を約45度の角度で斜めに切る。
⑤ 穂木の元を斜めに切った裏を、下から1~1.5cmの位置に小刀を少し切込み真下方向へ削る。
その時、形成層の少し内側になるよう、髄までは届かないようにする。
形成層は細胞分裂が活発な若い組織なので癒合しやすい。
切り口が乾くと癒合しにくくなるので、乾かないよう、
穂木を調製したら濡らした清潔な布や紙などに挟んでおく。
2.台木の調整
① 台木には芽がある。芽の下を剪定ばさみで横に切る。芽を残すとそこから台芽が出てしまう。
② 根が長過ぎると鉢に入らないので、拳より長い根の部分はまとめて切る。
③第1刀 小刀で切り口を1~2mm薄く切り、表面を滑らかにする。
④第2刀 形成層がよく見えるように、台木の角を外側から内側に向かい、斜め上に切り上げる。
このとき、台木が曲がっている場合は、横から見て真っ直ぐに見える側を探し第2刀を入れる。
⑤ このとき、切り上げた部分に黒い輪が見える、それが細胞分裂が盛んな形成層である。
⑥第3刀 形成層のすぐ内側を1~1.5cmくらい下方向へ切り込みを入れる。
この時、手を切らないよう注意する。
3.穂木と台木を接ぐ
①台木の第3刀の切り口に、穂木の調製⑤で切った側を内側にして穂木を下まで差し込む。
台木の形成層と穂木の形成層がくっつくよう、寄せ合わせる。
②台木の切り口の奥まで穂木を差し込む。
③接ぎ木部分に水が入らない様、接木テープで台木と穂木を巻き留め、密閉する。
品種名、日付、氏名を書き、枝に留める。
4.活着を促す
①4号腰高ポットにゴロ土を敷き、赤土を1/3まで入れる。
②苗木を植える。このとき、接ぎ木部分は土の上に出すように植える。
③針金をドーム状に土にさして苗木を保護し、
水をたっぷりあげた後、ビニール袋で覆う。
④遮光した温室に置くと1か月程で芽が伸びる。
穂木から新芽が1cm以上伸びたら成功。
ビニール上部の隅を少し切る。
数日後にもう一箇所の隅を切る。
ビニールを切る時期が早すぎると、
活着が不十分で新芽が枯れることがあるので注意する。
3~4cmに伸びたらビニール袋の縛りを解き、
下からも空気が入るようにする。
だいぶ大きくなったらビニールを外す。
ボトリチス病菌のカビなどに汚染されたら、
殺菌剤を散布する。
5.植え付け
<鉢植えの場合>
5月~6月頃に、6号鉢に植え替え、
IB化成などを少量施肥する。
<庭植えの場合>
4月中旬~5月下旬頃までに庭に植え付ける(新苗の植え付け)。
失敗しないのは、鉢植えにした大苗をその年の12月~翌年2月までの寒い時期に庭に植え付けるとよい(大苗の植え付け)。