品種改良の歴史
原種200種のうち、品種改良に使用されたのは8種+ミニバラの祖先1種である。
うち、西洋の原種バラが4種。特性は大輪・芳香・一季咲。
中国の原種バラが1種+ミニバラの祖先1種。特性は中輪・四季咲。
中近東の原種バラが1種。特性黄色いバラ。
日本の原種バラが2種。小輪・房咲のものと、つる性のもの。
1800年代初めナポレオンの妻ジョゼフィーヌは、マルメゾン宮殿に世界中からバラの原種や園芸種を集め、園丁に人工交配させた。遺伝の法則がわかる前で、画期的なことであった。これにより、1791年のフランスのバラのカタログには25品種程度が紹介されているに過ぎなかったが、1829年には4000品種が紹介さるに及んだ。ジョゼフィーヌがいなければ、バラの品種改良は100年遅れていただろうと言われ、現代バラへ至る先駆けとなった。
1867年フランスの育種家ギョーが、西洋のハイブリッド・パーペチュアル系と中国のティー系を交配させ、画期的な現代バラ(ハイブリッド・ティー・ローズ系)の第1号ラ・フランスを作出する。それ以前に作出されたバラは「オールド・ローズ(古代バラ)」または「クラシック・ローズ」、以後に作出されたバラは「モダン・ローズ(現代バラ)」と称される。中国原種の四季咲の性質を獲得したことにより、バラは花の中で別格の花となった。
1900年フランス育種家ペルネ・デュシェが、ハイブリッド・ティー系と中近東の黄色い原種「ロサ・フェティダ・ペルシアナ」を交配させ、オレンジ黄色の「ソレイユ・ドール(黄金の太陽)」を作出する。白や赤やピンクのみのバラの色に、画期的な黄色系の色が加わった。
現代バラには4つの系統がある。
ハイブリッド・ティー・ローズ(略称H・T)系:大輪木立、四季咲、芳香
フロリバンダ・ローズ(F)系:中輪木立、四季咲、房咲
クライミング・ローズ(CL)系:大輪、四季咲、つる性
ミニチュア・ローズ(Min)系:小輪多花性、四季咲、わい性(草丈が低い)
現代はH・T系が主流である。
1954年、コーネル大学教授ラマーツが新しい系統「グランディ・フローラ系」を作出する。
グランディ・フローラ(Gr)系は大輪、四季咲、房咲の強健種。
第1号のクィーン・エリザベスは、H・T系の性質にF系の強健な性質が加わってできた。今のH・T系はGr系の血が入っているものが多く、育てやすくなった。